朝なけに
「今日じゃなくても、明日もある。
とりあえず、横に来い」


中さんのその言葉に頷くと、隣に座る。
すぐに肩に腕を回される。



「お前、大学はどこ行ってんだ?」


「え?
大学はA 大学です…」


てっきり、もう始まるのかと思っていたので、その突然の質問にちょっと驚いた。
それにしても、中さんは私の事をまだよく知らないのか。


「お前バイトどうする?」


「バイト?」


「千里の店辞めたわけだから。
初めに会った時、バイトするとか言ってただろ?
生活費か学費の為だろ?」


"――とりあえず、近いうちにアルバイトはしようと思っていて。
かと言って、アルバイト代から全額返すのは無理なので、月に1万くらいの返済ですが――"


「そういえば、そうですね。
学費や家賃は親が出してくれてますが、生活費は自分でなんとかしないとダメなので」


「俺は、お前に百万の指輪を買ってやっても、お前の生活費の面倒はみないから。
そういう甘やかし方は違うつーか」


「はい」



「俺と一緒に居る時の飯代とかは出してやるけど。
他に俺の部屋でいるものがあれば、それも買ってやる」


やはり、甘いのは甘いんだな。


「バイト探さないとですね…」


全く、頭に無かった。
中さんと付き合えた事で頭の中が一杯で。


「お前昼間は学校あんのは分かってるけど、あんまり平日の夜は遅い時間迄働くな。
土日も出来たら働いて欲しくない。
一緒に居たいから。
俺がワガママ言ってんのは分かってる」


平日の夜と土日。
中さんが仕事していない時は、ずっと私と一緒に居てくれるって事なのか。


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