朝なけに
「あ、そういえば、葵衣ちゃんに中の事少しでも好きじゃないのか訊かれて、あの時はこれっぽっちも好きじゃないって言ったけど。
実は、ちょっとは中の事好き」


「ええ?」

驚いていると、真湖さんはクスクスと笑っている。
からかわれたのだろうか?


「だって、中ってかなり顔良いよね?
スタイルだって凄くいいし。
そりゃあ、いい男だな、って少しは思うよ」


嫉妬なのか、ちょっとモヤモヤとする。


「でも、中がどれだけイケメンでも、一夜以外の男はみんなつまらないんだよね。
一緒に居ても、一人で居るみたいに感じて。
私、一夜以外駄目みたいで。
いい加減、一人で淋しいなって思うんだけどね」


「あ、さっきの刑事さん!イケメンでしたよね?
真湖さんと仲良さそうだったので、あの人なんかどうですか?」


同業者ならば、自然と仲良くなって恋が芽生えるのではないだろうか?
真湖さんには幸せになって欲しいような気持ちが芽生えて来る。


「え?ああ、昌也。
昌也は高校の先輩で元彼だったりするんだけど。
ない。絶対に昌也と復縁とかない!
付き合ってる時、何度浮気されたか…。
付き合ってた時は私の目が濁っていて、昌也の本性を分かってなかったけど。
最近、同じ部署になってコンビ組まされてるけど。
やっぱり、昌也だけはないな。
面倒な処理とか、全部私に回して来るし。
色々、いい加減だし」


「そうですか…」


なんだか、逆にその昌也さんにはあるのではないか?と思ってしまったのは、口に出せないけど。
元彼だからとかではなく、なんとなく真湖さんはその人とは、少なくとも、つらまないとか、一人で居るみたいとかは思ってなさそう。
でも、きっとそれは今すぐとかではなくて。
ずっと先なのかもしれないけど。
今の真湖さんは、まだ一夜さんに囚われているから。


一夜さんって、どんな人だったのだろうか。
中さんのお兄さんだって事もあり、興味が湧く。
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