朝なけに
そんな感じで、わりと淋しい私の交遊関係。
中さんが居るから、毎日楽しいのだけど…。
後、1ヶ月もすれば夏休みなのに、特に予定もないな…。
でも、実家には暫く帰る予定だから向こうで友達に会える!
けど、その間中さんに会えないのか…。
そんな事を思い、本日はバイトがないので大学終わりに直接中さんの住むマンションへと帰る。
中さんのマンション近くの、ちょうどひとけの少ない路地に入った時。
「加賀見中の女か?」
前からこちらに歩いて来る一人の男性。
それに私の足が止まり、その男性も私から少し距離を取り向かい合うように立ち止まる。
「加賀見…中さんの女っていうか、彼女です」
目の前のこの人が誰かは知らないが、中さんの知り合いみたい。
見た感じ中さんと同じ歳くらいで、ちょっと悪そうな風貌。ツンツン頭で首の横にタトゥーが入っている。
中さんのように半グレなのかもしれない。
和同連合だっけ?中さんの半グレグループ。
それにしても、中さんの彼女だと言える事に喜びを感じてニヤける。
「ちょっと、加賀見の事で話がある」
「え?中さんの事でですか?
あなたも、和同連合の人ですか?」
「いや。俺は和同連合ではない。
それに、話があるのも俺ではなくて、俺の知り合い」
「その知り合いの人が、私に話って事ですか?」
誰が中さんの何の話が私にあるのかは知らないけど。
「大人しく来たら、手荒な事はしない」
なんとなく、この人は中さんの友達ではないのだと気付く。
逃げようと踵を返そうとした瞬間、腕を強く掴まれた。
「は、離して!!」
「大人しくしてたら、手荒な事しないって言ってんだろうが!」
凄むようにそう言われ、従うように頷いた。