朝なけに
中さんの住む部屋は、エレベーター乗り場から遠い一番突き当たりの部屋。
さっきのエントランスでもそうだったけど、
部屋の扉もカードキーを翳して解錠する。


玄関の扉が開くと広い玄関があって、長時間留守にしていた家の冷たい空気が外に流れ出してくる。
中さんが玄関に入ると、照明が自動で点灯して、それに私が驚いていると、また笑われた。


「俺、先シャワー浴びて来るから、リビングで適当にしとけ」


中さんはそう言って、シャワールームと思わしき所へと消えた。
私は、どうしようと思いながらも、靴を脱ぎ、廊下を真っ直ぐに進む。
そして、扉を開くとリビングと思われる広い部屋があり、大きなソファーが目に入る。


ソファーをはじめ、黒を基調とした部屋で。
物は少なく、とても片付いている。


とりあえず、黒い大きなソファーに座る。


「うわぁ~」


と、その柔らかい座り心地に声が漏れる。


それにしても、本当に中さんは私を抱くのだろうか?
好きな人だから、それは嫌ではないけど。


でも…と戸惑っているのは、
私が処女だからだろうか?


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