朝なけに
「けど、お前やっぱ顔は可愛いよな」

覗き込まれるように見られて、これ以上無理なくらい鼓動が早くなっている。


「顔だけ、なんですか?」


こうやって家に上げて貰えたって事は、多少なりにも私に興味を持って貰えたのだろうけど。
それは、私の顔だけなのだろうか。


「だから、お前もう喋んな」


「いや…それは」


ぐいっと思い切り引き寄せられると、中さんの顔が近付いて来て、その距離がとても近くなり。
唇に、温かくて柔らかい感触がする。


キス、されている。


自然と、目をぎゅっと瞑る。
私の閉じている唇を、中さんの舌が強引に押し開いて来る。


どうしよう、とどうする事も出来ず、その流れに身を任せた。
嫌じゃないけど、いいのだろうか、と何か悪い事でもしているような気持ちになる。


中さんは、舌で私の口内を撫で回す。


中さんは私から唇を離すと、立ち上がり私をひょいと持ち上げる。
いわゆるお姫様抱っこ。


「あ、あの中さん一体…」


急に、なに?


「場所移動。
ソファーやりにくいから」


それは、いわゆる、その…。


中さんは私を抱えたまま、リビングの隣の部屋へと行く。
開いた扉の向こうに、大きなベッドが現れた。
ダブルベッド。


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