朝なけに
中さんはそのままベッドの方へと進んで行くと、
私をベッドへ半ば放り投げるように下ろす。
ベッドはとても柔らかくて、私の体が沈んだ。


「中さん、本当にするのですか?」


「本当にするな」


そう言って、中さんはベッドに寝転ぶ私の上へと体を乗せて来る。
体重をかけないようにしてくれているのだろうけど、ズッシリと重くて。
男の人なんだな、と感じた。


それにしても、私の顔をじっと見ているけど裸眼で見えているのだろうか?


「眼鏡してないけど、見えてます?」


「近視だから、今もお前の顔はよく見えてる」


至近距離で目が合い。
ドキドキするのもそうだけど、本当にこの人に恋をしているのだと、改めて思う。


「中さん、大好きです」


「悪いけど、俺はお前の事好きじゃない」


その言葉に胸が痛くなる。
それは私の勝手なのかもしれないけど。
だって、一方的に私はこの人を好きになって、近付いて…。


念願叶って、こうやって触れられる距離迄近付けた。


「だけど、私は中さんが好きなんで、初めての相手が中さんで嬉しいです」


今夜、私はこの人に抱かれる。
遊ばれていたとしても、私は好きだから構わない。


「…お前、処女なのか?」


「はい」


私が頷くと、中さんは私から目を逸らし離れるように体を起こした。


「中さん?」


私も、体を起こす。


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