朝なけに
「ドキドキして苦しい相手より、そんな奴との方が上手く行くんじゃねえ?」


それは、私がって意味だろうか?
それとも、全般的に。
どっちにしろ、私は…。


「私は、ドキドキしてたいです。
今も中さん見てたら、ドキドキして苦しいけど」


そう言う私の目を、中さんは真っ直ぐと見てくる。
だから、訴え掛けてしまう。


「中さんが、欲しいんです。
私のものにしたいです!」


こんなにも、誰かを欲しいと思ったのは初めて。


「分かった」


「え?」


分かった、ってどういう意味?
もしかして、私と付き合ってくれるとか?


「二度三度と、こうやって会うか?」


「はい」


即答したが、付き合ってくれるわけではないのかな?と、中さんの顔を覗き込む。


「とりあえず、お前が何者なのか教えろ?」


中さんは吸っていた煙草を灰皿で揉み消すと、ベッドに寝転ぶ。
その際、布団の中に入り、寝る準備万端って感じ。


「あ、あの、私も寝転んでいいですか?」


私だけ、こうやって座っているのも変だし。


「ああ。横来いよ」


「…はい」


中さんの隣に寝転ぶと腕枕をされ、ぎゅっと抱きしめられた。


「さっきも思ったが、お前抱き心地いいな。
落ち着く」


「そうなのですね…」


私はドキドキとして、落ち着かないけど。


「じゃあ、お前の事教えろ?」


そう言われても…。


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