朝なけに
「用事なく、連絡してくんなよ」


「はい」


やはり、付き合っているとかじゃないからだろうな。
そういえば…。


「照さんが、中さんは彼女は居ないって言ってましたが…。
あの…なんていうか、親しい女性はいますよね?」


やんわりと訊いてみる。
バスルームの化粧落としや洗面台の化粧水等が、引っ掛かる。


「親しい…ヤれる女って事か?」


「まあ…。私は途中迄ですが、一応私もそんな感じですよね」


私が処女じゃなければ、そういった関係にこの人となっていたかもしれない。
昨夜のあの感じから、そういった関係の女性が何人か居るんじゃないかって。


セフレ…都合の良い女…。


「ん、居るな…五人くらい」


五人。けっこう居る。


「ちなみに、私は中さんにとって五人中何番目ですか?」


「五番目」


「五番目…」


一番目ではないとは思っていたが、最下位とは…。


「つーか、お前とはヤってねえから、それに入るのかよ?」


「やっぱり、してない私はその中にも入れて貰えないのですか?
今からでも遅くないから、抱いてください!」


「朝からその感じ辞めろ。
その順番はただの先着順だから、気にすんな」


先着順…?
確かに、私が一番最後にこの人と関係を持った。
途中迄だけど。


「二番目と三番目の女とは一年以上会ってねえから、数えなくてもいいかもな」


という事は、繰り上がって私は中さんの三番目の女。
それなら、希望が持てる!


「お前うるせえから、さっさと帰れ。
鍵開けっ放しでかまわない」


それは、見送ってくれないって事か。


「中さん、さようなら」


それに、微かに、ああ、と返事が返って来た。


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