朝なけに
「照も、お前の事気に入ってるみたいだからな」
「照さんが?」
「あいつは女癖が悪いから、気をつけろ」
「はい…」
そういえば、照さんから貰った名刺に携帯番号が書いてあって。
今朝、それを思い出してスマホの電話帳に登録したら、LINEに照さんが出て来て、メッセージでデートに誘われた。
けど、丁重にお断りした。
「あの、昨日はバーの場所を教えて頂いてありがとうございました。
おかげで、中さんに会えました」
今日もし千里さんに会えたら、この事のお礼を言おうと思っていた。
「どうだったんだ?
その事で中から俺に何も言ってこないから、お前に教えた事を怒ってはないみたいだな」
「まあ…、なんだかんだあって、中さんのマンションに昨晩は泊まりました」
「お前、さっそく喰われてんのかよ?」
「いえ。キスはしましたけど、それだけで…」
「は?まじか?
けど、中ならそれもあるか。
アイツ、その辺り真面目だから」
その"真面目"という言葉に反応してしまう。
「中さん、真面目なんですか?
だって、私を入れたら遊んでる女性が五人居るって本人から聞きました!!」
それって、真面目とは言わないだろう。
「お前も一応そこに入ってるのかよ?」
そう言って、千里さんは笑っている。
「はい。私は五番目ですが」
「いや。お前がヤッてないなら、四人だ」
千里さんの言う事がよく分からなくて、首をかしげる。