朝なけに
「…俺、酔ってんな。
これ以上やったら、止まらねぇ」


中さんは唇を離し、私の胸を触るのを辞めるように、
Tシャツから手を抜いた。


「もう辞めるのですか?」


なんとなく、そんな雰囲気。


「やっぱり、お前とは最後迄出来ない」


なんだか、それに胸が痛くなるのは…。


「…私が処女で、中さんが私を好きじゃないからですか?」


「ああ」


初めては好きな相手と、という拘りがこの人には有って。
私にはそれ以上に相手も私の事を好きだと思っている相手としろ、と中さんは言う。


この人なりに、私の事を思って言ってくれてるんだろうけど。


「もしもこの先、お前に惚れたら。
その時は、途中で辞めない」


ふいに言われたその言葉に、光が射したように希望を持ってしまう。


「中さん!私の事好きになる可能性あるんですか?」


「ゼロではないだろ?
嫌いになる可能性の方が高そうだけど」


ゼロではないけど、なんとなくその可能性は低そうな感じ。


だって、中さんには好きな女性が居る。
中さんの心の片隅にでも、私は入れないだろうか。


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