朝なけに
その後、眠いと言う中さんとベッドへと行き、
ギュッと抱きしめられて寝転んでいる。


「今日は急に会いたいとか言って、ごめんなさい」


「今さらかよ?」


そう言って、笑っている。
中さんの肩辺りに目線があるので顔は見えないが、その振動が伝わる。


「はい…」


「今日も仕事終わりに修司さんの店で飲んでたんだけど。
お前から連絡来た時、ちょうど帰ってる途中で」


それは、タイミング良かったのだろうか?
本当に中さんは修司さんのお店によく通っているんだな。


「帰る足取りが、軽くなった」


え?それは中さんも私に会いたいと思ったとか、そんな意味だろうか?


いつもは中さんはあまり家に帰りたくないのだろうか?
というか、一人になりたくないのかな?


「中さんにとって、私ってなんなのでしょう?
嫌われてはなさそうですが」


嫌いなら、こうやって会ってくれないだろう。
まあ、この先私を嫌いになる可能性はあるような事をさっき言われたけど。


「お前可愛いよな?
単純つーか。
犬や猫みたいな感じか」


その可愛いは、今までと違って、私の顔に対しての意味ではなさそう。
犬や猫…私はペットみたいな感じなのかな?


「けど、犬や猫と違って、ちょっとドキドキすんな」


そう言われたからか、中さんの鼓動が強く打っているように触れた部分から伝わる振動で思う。
だけど、惚れている私の方が、この人よりも凄くドキドキとしている。


「…俺、もう…眠い」


「え、もう少し話したい」


「お前抱いてると、落ち着く…」


そう言って、中さんの言葉は途切れた。
そして、寝息が聞こえて来る。


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