朝なけに
朝、今日は中さんは私よりも早く起きたみたいで、目を開けると隣には居なかった。
リビングに行くと、中さんはソファーに寝そべりテレビを見ていた。


「お前、今日学校は?」


「有ります。
用意したら、そのまま向かいます」


起きて来た私に声を掛けると、また再び中さんの視線はテレビに。
今日は、一度家に戻る時間は無さそうだな。
昨日も大学終わりに時間を潰してから千里さんのキャバクラに出勤したので、ある程度の勉強道具は揃っているので、このまま大学に行こう。



「俺、朝食わないけど、お前は大丈夫か?」


なんだか、そうやって心配してくれた事が嬉しい。


「大学行く前に、何処かで軽く済ませます」


ファストフードかカフェのモーニングか。
自宅に戻る時間はないが、軽く朝食を摂る時間はある。


「適当に、出て行けよ。
多分、俺の方が出るの後だろうから」


「はい」


中さんの隣に座って、一緒にテレビを観たりのんびりとしたいが、そんな時間は無さそうだ。


「洗面台、お借りしますね」


中さんにそう伝え、身支度をする。
と言っても、相変わらず普段は化粧と言える程の化粧はしない。
顔を洗い、置いてある化粧水をまた使う気にはならないから、顔の突っ張りを我慢する。
洗顔フォームは使ってないので、多少はマシだけど。


私ももっと大人になれば、中さんに好きになって貰えるだろうか?
中さんが好きな一番目の女性は、きっと大人だろうな。


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