朝なけに
「なら、その女性はなんで中さんと寝るのですか?
だって、中さんの事好きじゃないのに!」


「子供には、分かんねぇか?
世の中、セフレとかありふれてるだろ」


「分かります!別に、中さんがその女性を好きじゃないなら、どうでもいいです。
お互いが楽しんでいるだけなら」


「あ?お前は何が言いたい?」


「…その女性は中さんの気持ちを知ってますよね?きっと。
なのにそうやって…。
なんていうか、その人酷い」


「まあ、俺もそう思うけどな。
そんな女辞めとけって、俺も照も何度も中には言ってる」


だけど、中さんはその女性が好きなのだろうな。
実際、私も萌香に中さんとの事を止められても、止まれない。


「つーか、お前がなんでそんな傷付いたような顔してんだ?」


そう呆れたように笑われ、胸の内の苦しみを吐き出すように言葉にしてしまう。


「…多分、今の話だけじゃなくて…。
今夜、中さんと会う約束してたんです。
だけど、さっきそれの断りのLINEが来て」


「は?ちょっと会うのを断られたくらいで、すげえ落ち込みようだな?」


「きっと、中さんは今夜は一番目の女性と会うのだと思います。
私の方が先に約束してたのに…。
その女性は、中さんの事を好きじゃないのに、そうやって優先して貰えて…。
その女性に対して凄く腹立つけど、
中さんからしたら、私なんかよりもその女性の方が大事だから、私がこんな感情抱いたらいけないって思って…」


なんだか、もう何が言いたいのか分からない。
今の私は怒り、悲しんでいる。


「行くか?」


「え?」


行くかって、どこに?


「中にドタキャンされたなら、お前今夜暇だろ?
なんか食いに行くか?」


千里さんはソファーから立ち上がり、私の返事を聞かずにオーナー室から出て行く。


これって、どういう状況?と分からないまま、とりあえず千里さんの後を追った。


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