朝なけに

「…お前」


中さんは、私の言葉に引いてるような驚いているような表情をしているけど、顔が赤くなっている。


「アハハ、面白い!中君、王子様みたいだもんね」


照さんだけが、笑っている。


「中、抱いてやれよ?」


千里さんのその言葉に、中さんと同じように私も顔が赤くなる。
抱いてやれ、って、それって…。


「お前らうるせぇ!
つーか、このガキ女、お前ウザイからここの飲み代全額払え」


中さんは怒り心頭と言った感じで、私を見て来る。
中さんが怒っているのは分かっているけど、この人に対して今もドキドキとする。


「わかりました」

そう答えた私に、中さんは驚いたような顔をしている。


「払えんのかよ?」


「分割払いでもいいですか?
とりあえず、近いうちにアルバイトはしようと思っていて。
かと言って、アルバイト代から全額返すのは無理なので、月に1万くらいの返済ですが」


両親には、学費と家賃を出して貰っているが、生活費は自分で何とかしろと言われている。
とりあえず今は、子供の頃から貯めていたお年玉の一部で何とかしている。


「お前、本当にウザいな」


そう怒る中さんの気持ちは分かる。
57万の分割払いで月1万の返済とか、一体いつに返し終るんだって感じだろう。


「あ、葵衣、それは私もいくらか返さないといけないの?
私、お金ないよ」


その萌香の言葉に、首を横に振る。


「ううん。私が一人で全額返す!
なので、中さん、返済とかの連絡をしたいのでLINE教えて下さい」


この人に借金をすれば、そうやって連絡先を知れる。


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