朝なけに
「アカネちゃん、一応俺はお客さんなのに、そんな事言ったらダメだよ」


やはり、私は余計な事を言ってしまったのか。
けど、照さんは楽しそうに笑っているので、気分を害したわけではなさそう。


そうこうしていると、照さんのキープしているウィスキーのボトルとグラス等が運ばれて来る。
そして、私の前に置かれたグラス。


「アカネちゃんには、カルアミルク」


照さんはそう言って、私の耳元で、コーヒー牛乳だから、とこっそりと言う。
私がアルコールを飲まない配慮なのだろう。


早速、そのカルアミルク風のコーヒー牛乳を飲む。
ここではオレンジジュースばかりだったが、これもありだな。


「俺、氷入れてロックで」


照さんにそう言われ、お酒を作る。


「あ、あの、私の友達の萌香なのですが…。
えっと、あのバーに一緒に居た。
覚えてます?」

ウィスキーのグラスを渡す際に、そう切り出してみる。
あの食堂での喧嘩以来、萌香とは話してもなければLINEもしていない。
こちらからは話しかけるのもLINEもしにくい状態。
けど、もし萌香の気に入っている照さんの事でなら、萌香にLINEが出来る。


「覚えてる。
俺、可愛い子はちゃんと覚えるから」


それなら、わりと萌香は照さんに対して脈が有ったりするのでは?


「じゃあ、萌香誘うので、照さん今度ご飯とか行きません?」


あ、どうせなら、中さんも連れて来てくれないだろうか?
千里さんも来て欲しい。


「え?なんで?」


うっすら笑みで返されるけど、それは照れている感じではなくて。


「なんでって、照さん、意味分かってますよね?」


女性慣れしているこの人ならば、この手の誘いは良く有るだろうから。


「意味分かるから、なんで?って」


「え?」


意味分かるのに、なんでって…え?よく分かんない!


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