朝なけに
「照さん、少しご相談していいですか?」

「中の事?」


「あ、いえ。友達関係の事で」


なんとなく照さんはそういった相談に適任のような気がする。
女性関係は乱れていても、とても社交的で。


「なに?どうしたの?」


「地元に居た時は友達関係で全く悩んだ事がなかったのですが。
あ、私、S県出身なんですけどね」


「そうなんだ。
こっちでは上手く行かない?」


「はい。地元の子ともちょっとした喧嘩とかは有りますけど。
でも、わりとさっぱりしてて。
こっちに出て来てからの友達は、なんていうか…その…」


「なに?萌香ちゃんと上手く行ってなくて、
上手く行くように、それでさっき俺を萌香ちゃんに差し出そうとしたの?」


そう照さんは、笑っている。
全てお見通しで、恥ずかしいくらい。
だけど、説明しなくていいので手っ取り早い。


「そうです。
萌香とは、時々上手く行かないな?って思う時があって…」


地元の友達なら、喧嘩しても明日には仲直り出来ると思える絆みたいなものがあるのに。
萌香とは、あの子の機嫌を損ねる度に、もうこのまま嫌われてしまうんじゃないかって、不安になる。

「アカネちゃんと萌香ちゃんが上手く行かない理由は、友達じゃないからだと思う」


「え?」


友達じゃないって?



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