朝なけに
「なら、俺じゃなく、この店に返せ。
木下、LINEだってよ?」


「こんな人のLINEなんていらない!
どうせまた騙そうとかして、お金をよけいむしり取られそうだもん」


そう言った私の言葉に、照さんは手を叩いて笑っている。
木下さんは、ちょっとムカついたように私を睨んでいる。


「千里、お前の店でこの女働かせとけ?
とりあえず高校は卒業してそうだし。
俺、なんか頭痛いから帰る」


中さんはそう言って私の横を通り過ぎて、出入口の方へと向かう。


「中さん!」

思わず中さんの腕を掴んだ。


「千里の店なら、月5万は返せるだろ?
きりよく55万にしてやるから、計11回返せ」


そう言って、私の手を振り払って店から出て行った。
その背中が次に声を掛けたら、本当にヤバそうな殺気を放っていて。
私は黙ってその背中を見送るしか出来ない。


< 8 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop