朝なけに
「千里から聞いたかもしんねぇけど、俺、あんまり女に慣れてない。
全く女を知らないわけじゃないけど」


「はい」


中さんは真面目だと、千里さんは言っていた。
真湖さんへの報われなくて傷付いた恋心を癒す為に、数人好きでもない女性と関係を持ったりはしているらしいけど。


「だから、どうしたら女が喜ぶかとか分かんねぇ。
単純に物とかあげたりしたら喜ぶとかは分かんだけど。
照みたいに、女に優しい言葉の掛け方とかもよく分からない。
だから、お前から俺にどうして欲しいか言ってくれたら助かる」


「どうして欲しい…」


そりゃあ付き合って欲しいけど、それは無理だろうから。



「手、繋ぎたいです」


そう言って中さんの手を握る。
握ってから、中さんの返事を聞いてなかったな、と思うが、
私の手をぎゅっと握り返してくれた。




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