朝なけに



「苦しい…」


「あれだけ食ったらな」


店を出て、満腹に苦しむ私に中さんは呆れている。
お腹を手で押さえながら少しずつ歩き出す。


「だって美味しいし、食べ放題なら食べないと損ですよね?」


「だからって。食いすぎだろ?」


あのお皿の上の大量のピザを食べた後、二回程またピザを取りに行った。


「でも、フルーツのピザはお腹いっぱいでもなんでか食べられました」


フルーツとカスタードクリームの載ったピザ。
とても甘くて美味しかった。



「そっか」


「中さん、本当にご馳走さまでした。
いい思い出が出来ました」


先程のピザ屋での代金は、中さんが支払ってくれた。
奢って貰っていいのかな?と思いながらも、ご馳走になった。


「は?思い出作るなら、これからだろ?
次、何処行く?」


そう言われ、考えてみる。
デートってどういう所に行くのだろうか?


「少し待って下さい!」


そう断り、スマホを取り出して検索してみる。
"デート""オススメの場所"


「…映画、とかどうでしょう?」


色々の候補から、それを選ぶ。
この都会の街なら、シネコンとかあるだろう。


「映画好きなのか?」


「好きでといえば好きですね。
地元に三年前大きなショッピングモールが出来て、そこに大きなシネコンが併設されていて、
よく友達と映画を観に行ってました」


「そっか。お前食いすぎで苦しそうだし、休憩がてら映画行くか?
ちょうどそこのビルの上の方がシネコンだから」


中さんの目線の先の大きなビルを見る。
このビルに映画館があるのか…。


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