朝なけに
その後は、ドリンクも買って貰い、指定されたシアタールームへと行く。
そこそこ人気の映画なのか、人が多い。
多分、特別料金が掛かるプレミアシートを買ってくれたのか、シートも座り心地が良く、
とてもスクリーンが良く見える。


すぐに照明が落ち、他の映画の宣伝が始まる。


「なんだか、ドキドキします」


ミステリーだけどホラー要素もあるし、けっこう怖いかもしれない。



「そうか」


中さんは素っ気ないが、私の手を握ってくれた。
それに、とても安心する。


映画が始まり、主役は有名なハリウッド女優で、その美しさに見惚れた。
そして、いつの間にか記憶が無くて…。






「お前、始まって10分で寝るとか、ありえねぇ」


人波に流され、出口の方へと歩いて行く。
中さんはケラケラと笑っている。


つい先程、エンドロールが流れている時に、そろそろ起きろ、と起こされた。
それで、寝てしまった事に気付いた。


「だって…」


今日のデートが楽しみで、夜あまり眠れなかったし。
満腹だし。
良い席だったから、シートの座り心地も良すぎるし。
それに、映画も静かで淡々としていて…。
眠る要素満載で。


「なんでもっと早くに起こしてくれないんですか?」


多分、中さんは私が寝ている事に早く気付いていたみたいだし。


「すげえ気持ち良さそうに寝てたから」


確かに、凄く気持ち良く眠れた。
そういえば、昨日の夜も映画を観ながらウトウトと寝てしまっていたな。
うーん、私は映画鑑賞は向いてないのかな。


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