2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません
「お願いします、斗真さんには言わないでください。迷惑かけてしまいますから」

「迷惑?」

懇願したら、幸斗さんが顔を顰めた。

ここまできたら誤魔化すことはできないだろう。

幸斗さんは意外に勘が鋭いし、正直にちゃんと事情を話したほうがいい。

気持ちを落ち着かせるために一つ深呼吸をして、口を開く。

「斗真さんには、将来を誓い合った人がいるんです。私は、二年後には離婚する予定のかりそめの妻でしかないんです。だから、子供ができたなんて知られたら……」

「将来を誓い合った人?」

幸斗さんはさらに顔を顰めて首を捻る。

「斗真さんが院生の時、きれいな女性と仲良く腕を組んで歩いていたんです。その時彼女が嬉しそうに、斗真さんとずっと一緒にいるんだって言っていて……」

幸斗さんは少し間を置いた後、ピンと閃いたように表情を明るくした。

「そういうことか」

沈んでいる私とは裏腹に、幸斗さんは愉快げにクスクス笑い出す。

「まあ、浮かれてた時期だろうしな」

「え、一体何を……」

全く意味がわからず問いかけようとすると、

「あ、ちょっと仕事の電話してくる。待っててね」

と幸斗さんはドアの外へ出て行った。
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