2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません
実家から車で三十分ほど走り、到着した新居は新築されたばかりの高層マンションだ。

オフィスやマンションが立ち並ぶビル街とは思えないくらい広い敷地。

その中には庭園があり、花と緑が敷き詰められている。

我が家と同じく梅の木が見ごろで、ほかにも何種類かの高木があちらこちらに植えられている。

マンションを囲む生垣も数種類あり、季節ごとに実や花をつけて季節感を味わうことができるという。

私の実家にも昔は庭師がいたけど、今は経済的にそんな余裕もないため、時々業者に頼んで雑草の処理をしてもらうだけで精一杯だった。

だからこんな素敵な景色が毎日見られると思うととても嬉しい。

カードキーで開錠しエントランスを入ると、ホテルのような広いロビーにピアノジャズが控え目に流れている。

カウンターには常時コンシェルジュが二名いて、彼らは住人ひとりひとりの顔と名前を覚えて応対するのだという。

警備員はエントランス側と駐車場に直接向かう裏口側に常駐していて、外周の警備もしている。

エレベーターホールもカードキーで開錠。

さらにエレベーター乗車時にもカードキーをかざすことで、自分の住居がある階へと直行し、他の人と乗り合わせることはないらしい。

内廊下の玄関だから外からも見られることはない。

感動するほどセキュリティは万全で、むしろ実家の安全性が心配になるくらいだ。

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