2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません
「大丈夫か?」
斗真さんの声で、ハッと我に返る。
「斗真さん、危ないですよ!刺されたら死んじゃってたかもしれないんですよ?」
「瑞穂が死ぬよりいい。赤ちゃんも大丈夫か?お腹は痛くないか?」
「大丈夫です」
「そうか、よかった。無事で」
斗真さんの心底ほっとした声に、涙が止まらない。
このやさしさだけで、私はもうじゅうぶんだ。
斗真さんが彼女のところに戻ってもかまわない。
子どもは私ひとりでも責任を持って大切に育てよう。
そう決意していると、「斗真、片付いたわよ」と声がした。
明らかに低い男性の声なのに、女性のような話し方だ。
斗真さんが私から腕を離すと、うずくまる坂本さんに片足を乗せ、手をパンパンとはらう春海さんの姿が目に入った。
「春海、助かった」
「このくらい朝飯前よ」
彼女はふんっと鼻を鳴らす。
え?待って。さっき、男性の声だと思ったのに……
いつもの春海さんの声と違ったし、どういうこと?
「瑞穂、何か勘違いをしていたようだが、俺は男性に興味はない」
「だん、せい?」
「瑞穂さん、勘違いさせてすみません。私は戸籍も体も男です」
坂本さんを足蹴にしながら頭を下げた春海さんの声は、女性らしいトーンに戻っている。
全く話についていけない私は、斗真さんと春海さんを交互に見た。
斗真さんの声で、ハッと我に返る。
「斗真さん、危ないですよ!刺されたら死んじゃってたかもしれないんですよ?」
「瑞穂が死ぬよりいい。赤ちゃんも大丈夫か?お腹は痛くないか?」
「大丈夫です」
「そうか、よかった。無事で」
斗真さんの心底ほっとした声に、涙が止まらない。
このやさしさだけで、私はもうじゅうぶんだ。
斗真さんが彼女のところに戻ってもかまわない。
子どもは私ひとりでも責任を持って大切に育てよう。
そう決意していると、「斗真、片付いたわよ」と声がした。
明らかに低い男性の声なのに、女性のような話し方だ。
斗真さんが私から腕を離すと、うずくまる坂本さんに片足を乗せ、手をパンパンとはらう春海さんの姿が目に入った。
「春海、助かった」
「このくらい朝飯前よ」
彼女はふんっと鼻を鳴らす。
え?待って。さっき、男性の声だと思ったのに……
いつもの春海さんの声と違ったし、どういうこと?
「瑞穂、何か勘違いをしていたようだが、俺は男性に興味はない」
「だん、せい?」
「瑞穂さん、勘違いさせてすみません。私は戸籍も体も男です」
坂本さんを足蹴にしながら頭を下げた春海さんの声は、女性らしいトーンに戻っている。
全く話についていけない私は、斗真さんと春海さんを交互に見た。