2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません
7.期限切れのそのあとに
翌年の五月の初め、無事に元気な女の子を出産した。

名前は愛菜(まな)。

ハワイでは、『神秘的な力』『奇跡的な力』という意味があるらしい。

生まれてくる赤ちゃんの名前として候補に挙げていたのはたまたまだったけど、ハワイに縁がある言葉だと知って、これにしようと斗真さんと一緒に決めたのだ。

お腹の子が女の子だと分かった時、義父は複雑そうな顔をしていたけど、実際に生まれたらすぐに愛菜にメロメロになった。

「じいじ大好きとか言われたらたまらんなあ。嫁にやりたくないから、婿を取るのもいいかもな」

と言っているから、男の子を産めとプレッシャーをかけられることはもうないだろう。

斗真さんも当然のごとく愛菜を溺愛していて、今までのクールさはどこへやら、顔が緩みまくっている。

毎日かわいさがアップデートしていく愛菜のことが、私も斗真さんも愛おしくてたまらない。

だけど、子どもがいても斗真さんの私に対する心配性は変わらないようだ。

仕事から帰宅すると、愛菜の今日の様子を聞くとともに、「大丈夫か?疲れてないか?」といつも私に尋ねてくる。

「寝不足なのか?顔色が悪いから医者を呼ぼう」なんて大袈裟なことを言ったりするから時々ヒヤヒヤするけど、そんなふうに気遣ってくれることが嬉しい。

そのうち愛菜に対しても過保護なことを言い出すんだろうなと思うと、なんだか微笑ましい気持ちになる。

< 115 / 123 >

この作品をシェア

pagetop