2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません
ぽかんとする私に、父は腕を組んで得意げに鼻を鳴らした。
「びっくりしたか?だが以前そういう話はしたことがあっただろ」
確かに、父は私が学生の頃口にしていたことがある。
『瑞穂の結婚相手は斗真くんで決まりだな』と。
だから私は少し……ううん、かなり期待していた。
七年前、斗真さんが彼女と仲睦まじく歩いているのを目の当たりにするまでは。
もしかして、この七年の間にその彼女とお別れしたのかな。
それとも、双方の父親の説得で……もしくは斗真さんが会社のメリットを考えて、好きでもない私と結婚すると決めたんだろうか。
でも政略結婚をするのなら、経営難の我が家よりもっとふさわしい相手が……
「瑞穂?」
斗真さんの声で我にかえる。
「あ、あの。すみません、とてもびっくりして」
焦って声を裏返らせながら答える。
「瑞穂は斗真くんのことをとても慕っていたからな。サプライズになってよかった」
あっけらかんと笑う父にめまいがする。
母は父のさらに隣で口元に手を当てて「うふふっ」と楽し気に笑っている。
私に対して愛情があるのはもちろんわかっているけど、うちの両親は少しずれていると思う。