2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません
帰り道、もらってきたエコー写真を見つめながらお腹にそっと手を当てる。

まだちゃんと人の形に見えているわけでもないのに、かわいくてずっと見ていたくなる。

ふわふわと温かい気持ちになりながらマンションまでの帰り道を歩いていた時、不意にカバンの中のスマホが鳴った。

取り出すと斗真さんの名前が表示されている。

え?どうしてこんなタイミングで……

あたふたしながらも電話に出ないわけにはいかず、通話ボタンを押す。

「も、もしもし」

『瑞穂、元気か?』

耳元にダイレクトに響く斗真さんの声。

彼の声を聞くのはあまりにも久しぶりで、胸が鳴って涙が出そうになる。

「さっき日本に到着したんだ。今、羽田から自宅へ向かっている」

「え」

滲みかけた涙はさっと引っ込み、ぴたりと歩みが止まる。

「この前のこと、直接ちゃんと話したい」

話すって何を……?

私のこと、怒ってる?愛想つかしてる?

もう私と別れて、彼女と一緒になりたいと思ってる?

「家で待っててほしい。遅くはならないから」

「は、い」

なんとか返事をして通話を切った。

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