心に♪留まる
30頁 簡単には

【選択肢···習う?習わない?】


長い間 自分自身が分からずに
過ごしてきた 流。
直に変わる事はない。

それは、涼子も一颯もわかっている。

だから、できるだけ
こちらから声を掛けて
こうやるんだよ
と、教えながら
流の気持ちや考えも訊ねる。

甘える事を知らない
だから
甘えさせる事が出来ない

典李も四才になり
今では、典李から
色々言われている流。
「ママ?!手をつなぐんだよ。」
「ママ?!ありがとうは?」
「ママ?!ごめんなさいね。」
「ママ?!だいすき」
等など。

それを訊きながら
とても嬉しそうにしている流。

今では、時々だが······

一颯が、保育園の作業をしていると
一颯の腰に手が回り
一颯の背中に温かなぬくもりが
「流。疲れたね。」
と、言うと
「ううん。典李可愛いいし
お利口さん。一颯やお義母さんの
方が大変。」と。
「典李、本当に可愛いよね。
いつも典李を見てくれて
ありがとう。」
と、流の手に手を重ねて伝え
「流。愛してる。」
と、言うと
流の手に力が入り
「私も。」
と、クグモッた声で。

恥ずかしがり屋の流には
これが、精一杯
本当にかわいい人だ。

一颯は、ぐるりと体を回して
流を抱き締めてから

抱き上げソファーに腰掛ける
流は、
「一颯、お仕事。」
と、言うから
「大丈夫。流が大事だし。
ずっと、典李に流を取られていたから
流、不足。」
と、言うと
流は、クスクスっ、笑っていた。

大切で大好きな···流
大事で可愛い···典李

そして···今から増えるだろう家族

いつまでも、いつまでも、
   笑い合って生きて行きたい。

そこには、母も、琉生さんも
池谷さんも川中さんも
園のスタッフの皆も
あっ、それから小豆も
いて欲しい。

みんな、み〜んなで
 笑って過して行きたい。

 腕の中で眠る流にキスをして
 抱き締めながら目を閉じた。

          おわり
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