Doll
テオはペコリとフローラに頭を下げると、未だに喚き、魔法を使おうとしている家族に向かって手をかざす。すると、テオの手から糸が飛び出していった。その糸はオーウェンたちに絡み付いていく。

「うわぁ！！」

「な、何を！？」

糸によって動きを封じられたオーウェンたちはパニックになり、叫ぶ。だが数秒後には、森に響いていた声は止んだ。何故ならーーー。

「フフッ、可愛い」

「お気に召していただけたようで幸いです」

フローラは地面に落ちた人形を抱き締め、頰を緩める。その様子を見てテオは幸せそうな顔をしていた。

その人形たちは、オーウェンや両親の姿をしていた。フローラはテオに頼み、家族を全員人形に変えてもらったのだ。

「お嬢様、お次に人形に変えるのは学校のクラスメートの方ですね？」

「そう、お願いできる？」

「お任せください」

「フフッ、ありがとう」

フローラは人形となった家族を抱き締め、テオと共に歩いていく。幸せを胸いっぱいに感じながら……。
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