Doll
「やめてよ……!私、私は確かに魔女で、みんなとは違うかもしれない。でもそんなことしてない!カエルにしたいとか、惚れ薬を使うとか、そんなこと思ってもないし、していない!」

少女ーーーフローラ・フェイスは必死に少女たちに訴える。だが返ってくるのは冷たい視線と、先ほどよりも酷くなった悪口だった。

「いい子ぶってんじゃねぇぞ、このブス!!」

「成績いいのって先生を魔法で操ってるからだよね?」

「魔女なんて滅べばいいのに!」

泣くもんかとフローラはぷるんと潤った赤い唇を噛み締める。言い返しても無駄なのだ。ただ黙って相手が満足するのを待つしかない。

十五歳のフローラは、魔女だ。家族は古くから続く魔法族の家系で、両親も祖父母も親戚もみんな魔法が使える。

人と違う魔法族は、和解をしたとはいえまだ差別をされることは珍しくないのだ。この学校に魔法族はフローラしかおらず、フローラは学校へ行くたびにいじめを受けている。
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