Doll
何も知らないくせに……。フローラの目から涙が零れ落ちる。だが、母は話すのをやめない。

「今度あなたの誕生日があるじゃない。お友達を招待して、誕生日パーティーでもしましょう。オーウェンは毎年お友達をたくさん呼んでいるのに、あなたは一度も呼んでことがないじゃない。お母さんもお父さんも、おじいちゃんおばあちゃんも、あなたのお友達がどんな子なのか知りたいわ」

フローラに友達は一人もいない。いじめは揶揄うのではなく、ただフローラを排除するために行っているものだ。

うるさい、うるさい、うるさい、うるさい。マグマのような怒りがフローラの中に込み上げ、噴火していく。

「うるさい!!私のことなんか、本当はどうでもいいくせに!!オーウェンしか大事じゃないんでしょ!?」

そう言い、フローラはリビングのドアを乱暴に開けて外へと飛び出す。泣きながら走っているとすぐに息が切れる。だが、それでも足を止めることはできなかった。ただ、行きたい場所があった。
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