意地悪な王子様とのヤキモチ争奪戦
(野良猫、良かったわね)

あとは、現地にさえ着けば、颯なら、あの子を見つけるのは容易だろう。

颯の誕生日が、最高の一日になって本当に良かった。

(私が、こんな気持ちになるなんて……)

ついこの間までは、颯との恋を引き摺っていた私は、颯以上に好きになる相手なんて、二度と現れない、そう思ってた。

それなのに、今は、暇さえあれば、あの意地悪な王子様に私は夢中だ。私は、毎日欠かさずつけているガーネットのピアスをそっと人差し指で撫でた。

(そういや……千歳、今日の夜、空いてるのかな)

ここ最近は、会えば、颯と野良猫の話ばかりしては、二人してため息をばかりを吐き出していて、バレンタインデーをどう過ごすのか千歳と話してはいなかった。
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