意地悪な王子様とのヤキモチ争奪戦
「ちょっと何しに来たのよっ」

「実花子こそ、僕とお昼食べずに、何で颯先輩の部屋で食べてるの?」

「そんなの、分かってるでしょ!颯が、ぬいぐるみに話しかける位、落ち込んでて、ほっとけなかったから!」

千歳が、一瞬だけ、目を丸くした。

「ぬいぐるみ?……ま、いいや、僕が、わざわざ、この部屋に来た理由わかる?」

私は、目線を下げて、今にもこぼれ落ちそうな大量のチョコレートの箱が入った、紙袋を見つめながら、背の高い千歳を睨みあげる。

「ばかっ。見せびらかせないで!」

「半分あってるけど、僕の欲しい答えと違う」

「何よっ、まどろっこしいわね」

見れば、千歳が拗ねた顔をしている。

(何で千歳が拗ねてる訳?!その大量のチョコレートにこっちが拗ねたいわよっ)

「早く言いなさいよっ」

「言うより先に気づいてよ」

千歳は、あっという間に、紙袋を放り投げると、私の唇をぱくんと食べる。バサバサッとチョコレートの箱が散らばるのが目の端に映った。

「ンッ……ば……かっ」

引き剥がそうと、抵抗を試みるが、私の力じゃ千歳はびくともしない。それどころか、唇だけで飽き足らず、指を差し込まれ、口内を暴かれて、目は、トロンとしてくる。
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