意地悪な王子様とのヤキモチ争奪戦
「千歳……ヤキモチ……焼いたの?」 

「悪い?」

「ね、だから、貰ったチョコレート全部見せにきたんだ?」

「そうだよ。こんだけの女の子が、僕に気があるってこと実花子に見せびらかせたくて」

クスクスと笑った私を千歳が、コツンと小突く。そして、大きな掌を差し出した。

「僕が、欲しいのは、実花子からのチョコレートだけだから」

「しょうがないなぁ」

本当は、千歳に早く渡したくて、早く食べてほしかったくせに、私は、いつのに、意地悪王子様の真似っ子をするようになったんだろう。

私は、鞄から、ピンク色のリボンでラッピングした、チョコチップクッキーの箱を取り出すと、千歳の大きな掌に乗せた。

そして、背伸びをすると、頬にキスを落とす。

「千歳が1番大事。1番大好き」

綺麗な二重瞼を見つめながら、囁けば、千歳の頬は、ほんのり赤く染まる。

「……ちょっと、副社長室でキスするなんて……どうかと思うよっ」

「先にしてきたのはどっちよ、嬉しかったくせに」

千歳は、ポリポリと頬を人差し指で掻くと、そっとリボンを解く。
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