後宮鳳凰伝 愛が行きつくその先に
1.相思相愛
秀女選抜
「ここにいたのか、美凰」
どこか安心するような声に振り返る。
そこにいたのは洪武帝の第四皇子で幼馴染でもある、朱 棣だった。
彼との出会いは、八年前の八歳の時。彼は十歳だった。
ある日、洪武帝の妃嬪だった叔母の徐昭儀に会いに来ていた頃、後宮でうっかり迷ってしまったのだ。
『どうしましょ……叔母上に早く会いに行かないと心配させちゃう……!』
泣きそうになるのを、私は徐家の長女なのだから、と必死に言い聞かせて堪える。
『うわぁっっ!』
とりあえず行かなければ、と思いながら歩きだすと誰かにぶつかってしまった。
服装からして皇子であることが分かる。
『申し訳ございません、殿下』
慌てて謝罪を述べ、跪こうとした――が、できなかった。殿下が私の腕をつかんでいるのだ。
『あ、あのっ!』
『そなた、鳳凰なのか……?』
彼はどこか魂が抜かれたような様子をしながら聞いてきた。
鳳凰、それは、この地の古くから伝わる伝説の鳥、神の使いのことである。
どこか安心するような声に振り返る。
そこにいたのは洪武帝の第四皇子で幼馴染でもある、朱 棣だった。
彼との出会いは、八年前の八歳の時。彼は十歳だった。
ある日、洪武帝の妃嬪だった叔母の徐昭儀に会いに来ていた頃、後宮でうっかり迷ってしまったのだ。
『どうしましょ……叔母上に早く会いに行かないと心配させちゃう……!』
泣きそうになるのを、私は徐家の長女なのだから、と必死に言い聞かせて堪える。
『うわぁっっ!』
とりあえず行かなければ、と思いながら歩きだすと誰かにぶつかってしまった。
服装からして皇子であることが分かる。
『申し訳ございません、殿下』
慌てて謝罪を述べ、跪こうとした――が、できなかった。殿下が私の腕をつかんでいるのだ。
『あ、あのっ!』
『そなた、鳳凰なのか……?』
彼はどこか魂が抜かれたような様子をしながら聞いてきた。
鳳凰、それは、この地の古くから伝わる伝説の鳥、神の使いのことである。
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