後宮鳳凰伝 愛が行きつくその先に
新婚初夜
――四月二十六日――
燕王の婚儀が盛大に執り行われる。三日前、正妻として張氏が嫁ぎ、その次の日には良妃として喩氏が嫁いでる。
今日は静妃として嫁ぐ、美凰と楊氏の婚礼の日である。
それぞれが、鮮やかな赤で装飾された輿に揺られ、燕王府に迎え入れられる。
「美凰さま、とてもお美しいです!燕王殿下が惚れてしまうのも無理はありませんよ!」
輿から降りるために阿蘭の手を借りていると、大袈裟なほど褒めてくる阿蘭に苦笑する。
「ありがとう。お世辞でも嬉しいわ。でも、言っておくけれど、私は平凡な容姿よ」
「まったく、その通りね。なぜ、あなたみたいな人が殿下に見初められたのかしら」
「無礼な!」
同じように侍女の手を借りて、輿から降りながら嘲笑う楊氏に、言い返そうとする阿蘭を手で制して楊氏に微笑む。
「楊静妃、久しぶりね。あなたの言う通りのように平凡ですけれど、これからは同じ夫に仕える者として姉妹のように仲良くしましょうね」
「………」
美凰の話を無視して、さっさと中へ入っていく楊氏。
「感じの悪い人ですね!」
「阿蘭、言葉を慎みなさい。あなたは昔から率直にものを言うてしまうから心配よ……誰かに聞かれていたらどうするの?」
「失言でした。お許しください、美凰さま」
「次から気を付ければそれで良いわ。さあ、行きましょう」
「はい!」
燕王の婚儀が盛大に執り行われる。三日前、正妻として張氏が嫁ぎ、その次の日には良妃として喩氏が嫁いでる。
今日は静妃として嫁ぐ、美凰と楊氏の婚礼の日である。
それぞれが、鮮やかな赤で装飾された輿に揺られ、燕王府に迎え入れられる。
「美凰さま、とてもお美しいです!燕王殿下が惚れてしまうのも無理はありませんよ!」
輿から降りるために阿蘭の手を借りていると、大袈裟なほど褒めてくる阿蘭に苦笑する。
「ありがとう。お世辞でも嬉しいわ。でも、言っておくけれど、私は平凡な容姿よ」
「まったく、その通りね。なぜ、あなたみたいな人が殿下に見初められたのかしら」
「無礼な!」
同じように侍女の手を借りて、輿から降りながら嘲笑う楊氏に、言い返そうとする阿蘭を手で制して楊氏に微笑む。
「楊静妃、久しぶりね。あなたの言う通りのように平凡ですけれど、これからは同じ夫に仕える者として姉妹のように仲良くしましょうね」
「………」
美凰の話を無視して、さっさと中へ入っていく楊氏。
「感じの悪い人ですね!」
「阿蘭、言葉を慎みなさい。あなたは昔から率直にものを言うてしまうから心配よ……誰かに聞かれていたらどうするの?」
「失言でした。お許しください、美凰さま」
「次から気を付ければそれで良いわ。さあ、行きましょう」
「はい!」