後宮鳳凰伝 愛が行きつくその先に
「秀快……」

「俺と共に人生を歩んでくれないか?」

「で、でも……(こう)貴妃(きひ)さまは認めないのでは…?」


碽貴妃は秀快の生母である。朝鮮の高麗から献上された貢女(こうじょ)で、老いることを知らない美貌で主上を虜にしているらしい。しかし、貴妃という高位に封じられていることから、高慢な部分があるようで、下位の者を見下しているきらいがある。

徐昭儀を叔母に持つ美凰も、そのうちの一人だ。

後宮には、皇后の下に十二妃(じゅうにひ)と呼ばれる十二人の妃がいる。皇貴妃(こうきひ)貴妃(きひ)麗妃(れいひ)賢妃(けんひ)定妃(ていひ)淑妃(しゅくひ)順妃(じゅんひ)徳妃(とくひ)恵妃(けいひ)充妃(じゅうひ)成妃(せいひ)寧妃(ねいひ)がそれである。
十二妃の下に九嬪(きゅうひん)がいる。九嬪は昭儀(しょうぎ)昭容(しょうよう)昭媛(しょうえん)修儀(しゅうぎ)修容(しゅうよう)修媛(しゅうえん)充儀(じゅうぎ)充容(じゅうよう)充媛(じゅうえん)
十二妃と九嬪をあわせて妃嬪(ひひん)と呼んでいる。
九嬪よりも下の位は侍妾(じしょう)という。侍妾には、婕妤(しょうよ)美人(びじん)貴人(きじん)と、宮御(きゅうご)宮人(きゅうじん)という大きく二つに分けた位階があるが、各位階一名ずつの妃嬪と違って定員がない。

碽貴妃は十二妃の第二位であるに対して、徐昭儀は九嬪の最高位。

同じ妃嬪でも身分の差は歴然としている。

そのせいで、美凰も碽貴妃から良く思われていない。


「大丈夫だ。母上を必ず説得して、そなたを王妃に迎えるようにする。だから、秀女選抜に来てくれ」
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