後宮鳳凰伝 愛が行きつくその先に
――数日後――
「皇太子殿下の悪い噂が広まっているのですか……?」
秀快が夜着に着替えるのを手伝っていた美凰は皇太子の話を聞いて困惑する。
「ああ。市井にまでも噂が広まっているらしい……」
「皇宮だけでなく市井にまでも広まっているのはあまりにも早すぎだわ。誰かが意図的に流している可能性が高いわね」
「私もその線で調べているよ。噂の出所を見つけ出さなければ……」
苦し気に顔を歪める秀快を抱きしめ、無理をしないでと言う。
「急がなければならない……今日の朝議で大兄が父皇に叱責されていたんだ。皇室の汚点をさらすな、と」
「そんな……皇太子殿下が品行方正なお方だと主上が一番お分かりなはずなのに」
秀快は少し首をかしげて呟いた。
「父皇が汚点をさらすなと言ったのは別の事を指摘しているのかもしれぬな……美凰はどう思う?」
「私ですか……?」
「ああ。学者と称されるほどの才女なら何か思うところがあるんじゃないかと思ってね」
「そうね……はっきりとは分からないけれど茗玉さまのことかしら?当時、皇太子殿下と茗玉さまのご関係に一番反対し、憤っていらっしゃっていたのは主上よ……そういえば、茗玉さまのご命日に皇太子殿下は朝議をお休みになられていたって言ってたわよね?」
「ああ。父皇は始終不機嫌だったよ」
「それなら、主上からしたら皇太子殿下の噂は茗玉さまのことについて戒めるには都合がとても良いわ。早く忘れるようにと遠回しで伝えているのかもしれないわね」
「確かにそれが理由の可能性が高いな。大兄は勘付いているかもしれないが、一応忠告しておくよ」
「いいえ……やめておいた方が良いわ」
止めると、驚いた様子で振り返った。
「どうしてだい?」
「皇太子殿下は茗玉さまのためならすべてを捨てるつもりでいたわ。身分や自分の名すらね。主上がもし茗玉さまのことを遠回しに伝えているのなら、それは侮蔑の意図を含んでいるはずよ」
「確かに、大兄がそんなことを知れば何をするか分からないな」
「ええ、だから何も伝えない方が良いわ」
「分かった。ありがとう」
「皇太子殿下の悪い噂が広まっているのですか……?」
秀快が夜着に着替えるのを手伝っていた美凰は皇太子の話を聞いて困惑する。
「ああ。市井にまでも噂が広まっているらしい……」
「皇宮だけでなく市井にまでも広まっているのはあまりにも早すぎだわ。誰かが意図的に流している可能性が高いわね」
「私もその線で調べているよ。噂の出所を見つけ出さなければ……」
苦し気に顔を歪める秀快を抱きしめ、無理をしないでと言う。
「急がなければならない……今日の朝議で大兄が父皇に叱責されていたんだ。皇室の汚点をさらすな、と」
「そんな……皇太子殿下が品行方正なお方だと主上が一番お分かりなはずなのに」
秀快は少し首をかしげて呟いた。
「父皇が汚点をさらすなと言ったのは別の事を指摘しているのかもしれぬな……美凰はどう思う?」
「私ですか……?」
「ああ。学者と称されるほどの才女なら何か思うところがあるんじゃないかと思ってね」
「そうね……はっきりとは分からないけれど茗玉さまのことかしら?当時、皇太子殿下と茗玉さまのご関係に一番反対し、憤っていらっしゃっていたのは主上よ……そういえば、茗玉さまのご命日に皇太子殿下は朝議をお休みになられていたって言ってたわよね?」
「ああ。父皇は始終不機嫌だったよ」
「それなら、主上からしたら皇太子殿下の噂は茗玉さまのことについて戒めるには都合がとても良いわ。早く忘れるようにと遠回しで伝えているのかもしれないわね」
「確かにそれが理由の可能性が高いな。大兄は勘付いているかもしれないが、一応忠告しておくよ」
「いいえ……やめておいた方が良いわ」
止めると、驚いた様子で振り返った。
「どうしてだい?」
「皇太子殿下は茗玉さまのためならすべてを捨てるつもりでいたわ。身分や自分の名すらね。主上がもし茗玉さまのことを遠回しに伝えているのなら、それは侮蔑の意図を含んでいるはずよ」
「確かに、大兄がそんなことを知れば何をするか分からないな」
「ええ、だから何も伝えない方が良いわ」
「分かった。ありがとう」