推し? 好き? 最後はリアコ? ー揺れる心を抱き締めてー
よくある金曜日の,昼前。

ん……



『おかーさ~ん,まって~』

『全く,早くしなさい』




あったかい布団に包まれて,大人と,子供の声が聞こえてきた。

今,何時……

ねむ……

まぁ,何時でもいっか。

しっかりと推しのぬいぐるみクッションを抱いて,眠りの体勢をとる。



『きゃはははっかわいー!』



可愛いのはあなたです。

ガンっと反射的に覚醒して,私は最大まで目を見開いた。

……って,え?

今の声……

いや,そんなわけない。

ここ,田舎だし。

でも……めっちゃ似てた。

誰って,唯一推してるグループのメンバー,推しの1人に。

うん。

似てた。

それはもう,限りなく。

顔を見てみたくなるくらい。

どくどくどくと,起きたばかりで心臓が鳴る。

ときめいて仕方ない。

もう,眠れそうには無かった。



『ねー,可愛いー。東京じゃもっとがやがやしてるから,こんな風に和めないし』



増えるもう1つの声まで違うメンバーの声に聞こえてくるから,もうどうしようもない。

マンション1階の1室。

窓の向こうに聞こえる声。

そこで話してるのは,誰。

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