推し? 好き? 最後はリアコ? ー揺れる心を抱き締めてー
「あれー何してん……あー2人なんかしました? すいません」

「すいません」



しゃかしゃかコンビニ袋を鳴らして,正統派イケメンと眉を垂らした細身のイケメンがやって来る。

私は完全に固まった。

そうだ,グループ全体であんなに仲がいいのに,こんな旅行と大差ない距離を2人だけなハズがない。

サボはオールマイティー型。

仲良くなるのが,2人だけなわけがない。



「ん? 102? もしかして君が美海ちゃん?!」



細身の"らぅるくん"があっと声をあげる。

私の喉が,ヒュッと音をならした。

隣の"りきとくん"も,私をまじまじと見つめる。

途端,驚きすぎた私の瞳から,ぽろぽろぽろと大粒の涙が零れ出した。

2人が一瞬,ざわりとたじろぐ。



「あーあらぅるくんが泣かせたー」

「えぇ? 僕は何も……」



そう,ただのキャパオーバー。

朔,名前まで伝えてるなんて聞いてないよ。

あぁ,だから最初ねここくんは……

あーあと言った口調で話しかけるねここくんの声を聞きながら,私は瞬いて余計な水を落とした。

他のメンバーと違って,殆ど容姿の情報がないらぅるくん。

それでも声を聞けば分かるし,すぐに目に馴染んだ。

この人が,らぅるくん。

彼こそ,私が……



「朔が言ってたじゃん。1番好きなのはらぅちゃんだって。急に呼ばれたらびっくりしちゃうでしょ? 俺も気を付けてたのに~」
< 9 / 27 >

この作品をシェア

pagetop