死神キューピッド
ゆでだこみたいに真っ赤になったその若い母親が、うわずった声をしぼりだす。


「あ、あの、お名前を、教えていただけますか?」


それが、その後の俺の人生を大きく左右することになる出会いの瞬間だとは、その時の俺は、つゆほどにも気が付いていなかった。



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