死神キューピッド
テーブル越しに交わしたキスは、少ししょっぱい味噌の味。


菜の花が淡い金色のかげろうのように光り輝いて、私たちの世界を包み始める。


虹太と笑顔をわけあいながら、あとちょっとだけ、向こうの世界で頑張ってみたかったな、なんて思っている私はきっと贅沢者だ。


だれしも定められた運命があって、ふいに未来はさらわれる。


私たちに、新しい明日は存在しない。


「これからも、ずーっと一緒」


砂糖菓子のように、甘いうそを甘受する。


鼓膜に響く虹太の甘い声をしっかりと、心に刻みつける。


ここは、甘くて優しい黄泉の国。


これは、私たちが見る最期のうたかたの夢。


それでも、どんな世界も愛であふれてる。


だから、きっと大丈夫。







Fin




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