死神キューピッド
虹太には不思議な求心力があって、生まれながらの人たらし。


時折、すごく大人びたことを言ってまわりを唸らせるのに、笑うと可愛くて愛嬌があって。


虹太が実行委員に決まってから、実行委員を代わってほしいって、何人かの女子に頼まれたんだよ。


それでも、実行委員をやり通したのは、あのとき虹太が引き受けてくれたから。


私も、私なりに頑張んなきゃって思ったの。


人の前に立つなんて、ホント苦手だったのに。


はあ、こたつって最高だ。


虹太のぬくもりがなくても、あとちょっとだけ頑張れそうな気がしてくるよ。


……あの文化祭、楽しかったな。


虹太と一緒に過ごす時間が増えて、たまに一緒に帰って。


気が付いたら、「たまに」が「毎日」になっていて。


初めて手をつないで帰ったときのこと、まだ覚えてる。


寒い日だったのに、どうしようもなく恥ずかしくて、ふたりとも頬っぺたが真っ赤になっちゃったよね。


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