死神キューピッド
しばらく、ぽかんと虹太を眺めて。


――――ふざけんな。


場違いに嬉しそうに笑う虹太に飛びつくと、力の限りに虹太の胸を叩いて、殴って、掴んで。


泣いて怒って、怒鳴って。


それなのに、心のなかははしゃいでるんだから、私も相当やられてる。


こんな感情、手に負えない。


だって、まだ、許されるんだ。


こんなふうに、虹太に感情をぶつけることが、まだ許される。


私は虹太の光しかいらないの。


世界中に拒絶されても、私は虹太の光さえあればそれで光合成して生きていけるの。


だから、どんな虹太でもいいから、どこにも行かないで。


幼い子をあやすように私をなだめると、虹太がぐるりと部屋中を見回して、ふわりと笑う。


「それにしても、酷いな、この部屋」


「だれのせい?」


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