死神キューピッド
「俺のせい。だから、俺があとで片付けるよ。けど、とりあえず抱かせて」


虹太の骨ばった手に、腰を抱かれて飛び跳ねた。


「ちょ、ちょっと待って!」


お風呂、入らないと!


歯だって磨きたいし、髪も洗いたい! 


咄嗟にあわあわと、虹太から距離を取る。


どれだけお風呂に入ってないか、わからない。


「……あのさ、”抱く”って、そっちじゃないよ。まあ、それは、あとでゆっくり? 今はとりあえず、ぎゅってさせて」


一歩近づく虹太から、さらに大きく後ずさる。


絶っ対に、無理!


今すぐ虹太に抱き着きたいけど。


ずっと、くっついていたいけど。


それだけは無理。


何日もお風呂入ってないから、私、絶対にくさい。


かなりくさい。


虹太と暮らしていたときには、あれだけ香りに気を付けてたのに!


いくらなんでも落差が激しすぎ。


これじゃギャップ萌えじゃなくて、ギャップ萎え!


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