死神キューピッド
また、虹太に触れられる日がくるとは思わなかった。


シャワーを浴び終わるころに、やっと温かくなってきたお湯。


水栓をひねってキュッと止める。


大急ぎで、でもしっかりと歯を磨いて、全身垢まみれでよどんでいた自分から、つるりと脱皮する。


「もういい? 俺も一緒に入ってもいい?」


「だ、だめっ! 絶対にだめっ!」


バスルームの扉の向こうから届く虹太の声に、食い気味に返事を返す。


だって、それくらい私は汚いんだからっ!


一緒にお風呂入るって、結構、ハードル高いことなんだから!


いつもはそれなりに準備してるから許せるけど、今は絶っ対にダメ!


なけなしの乙女心、お願いだから理解してっ!


慌てながらもお気に入りの下着を瞬時に手にとり、キレイめのスウェットを身に着けて、扉を開ける。


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