死神キューピッド
存在
どれだけ時間が過ぎたんだろう。
もう朝なのか、夜なのかもわからない。
白い壁に虹太と並んでよりかかり、どちらともなく手を握る。
どこかに体重を預けてないと、座っていることもできそうにない。
「先輩によると、……俺はもうすぐ、消えるらしい」
「……先輩?」
「ああ、俺より先に死んだ幽霊の先輩。俺が死んだ場所、わりと事故とか多い場所らしくて、いろいろ進行が早いらしい」
「……事故?」
記憶の底で、なにかが香る。
濃厚で生温い香り。
強い衝撃、虹太の体温。
鼓膜を麻痺させたあの声は、
「お前は、そういうこと知らなくていい。知らないほうがいい。むしろ、忘れて。そういうことを知られるのはあんまりよくないらしいから」
ひとつ息をすって、虹太が続ける。
もう朝なのか、夜なのかもわからない。
白い壁に虹太と並んでよりかかり、どちらともなく手を握る。
どこかに体重を預けてないと、座っていることもできそうにない。
「先輩によると、……俺はもうすぐ、消えるらしい」
「……先輩?」
「ああ、俺より先に死んだ幽霊の先輩。俺が死んだ場所、わりと事故とか多い場所らしくて、いろいろ進行が早いらしい」
「……事故?」
記憶の底で、なにかが香る。
濃厚で生温い香り。
強い衝撃、虹太の体温。
鼓膜を麻痺させたあの声は、
「お前は、そういうこと知らなくていい。知らないほうがいい。むしろ、忘れて。そういうことを知られるのはあんまりよくないらしいから」
ひとつ息をすって、虹太が続ける。