死神キューピッド
そういうのは優しさって言わないんだよ、バカ虹太。


お腹がいっぱいになったら、ちょっとは癒されるのかなと思ったけど、血糖値が上がって、気分も上がったように感じたのはほんの一瞬。


……ものすっごく、気持ち悪い。


よく考えたら、この数日、まともなものなんて食べてなかった気がする。


こんなとこ見られたら、絶対に虹太に怒られる。


なーんて、もう帰ってこない男のことを気にしても仕方がないか。 


おにぎりを手にとって、セロファンをはがして、ぱくり。


しょっぱいけど、……美味しいな。


コンビニのおにぎり、よく一緒に食べたよね。


ホントはおにぎりが好きだったわけじゃないんだよ。


虹太と半分こしたくて、おにぎり買ってたんだよ。


だって、虹太絶対に言うでしょう?


『ひとくち頂戴』って。


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