死神キューピッド
こたつのぬくもりに誘導されて、うつらうつらと見た夢は、出会ったころの虹太の横顔。


思考は感情で遮断されるのに、引きつれる感情が、記憶から虹太を引きずり出してくるんだから、私も相当やられてる。


だってさ、今の私は、どうしようもなく虹太でできてるんだから。


目を伏せると浮かぶのは、グレーのブレザーに、モスグリーンのネクタイをした虹太の姿。


ありきたりで、それでも、私たちにとっては特別な制服。


虹太と私を、期限付きで世間から守ってくれた高校生という特別な時間。


また、あの頃に戻りたいな……





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