死神キューピッド
店の前を掃いてゴミをまとめて、力仕事をそこそこ終えて、店に出る。


「いつも悪いね」


「っす」


店長に短く返事して、品出しをしていると、目の前に客が立つ。


ん?


……なんだ、こいつ。


俺のネームバッジを確認するように首をかしげたそいつは、20代前半。


俺と同じくらいか?


本社の奴にしては若すぎるし、スーツを着ているわけでもない。


商品を探してるわけでもなさそうだし、客にしては挙動の怪しいそいつを訝しむ。


「すいません。あの、朝倉一哉さん、ですよね?」


「は? はあ」

ふいを突かれて、間抜けな声で返す。


どうして、俺のフルネームを知ってんだ?


「高田平四郎さんからの言づけを頼まれて来ました」


「……え?」


パンを並べる手をとめる。


眉を寄せて、そいつの顔を仰ぐ。


「いつも、月曜日の朝にこのコンビニに、新聞を買いにきていた年配の……」


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