絶叫、そして契り/『ヒート・フルーツ』第1部終盤エピソード特別編集版❣
その8
多美代



はー???

ごめんなさい、すみませんでしただけど、反省はしてねーって?

なんなんだ、このヤローは‼

ふざけんなって!

私だって先輩たちと一緒に、ここでコイツをボコボコにしたいって

もうこの中は、みんなの怒りで燃え上がりそうなくらい暑いわ


...


だけど荒子総長は、意識して本郷が”反省はしていない”と言うコトバを引き出したんだろうね

私はそう思うよ

要は、ヤツは信じるところに従って実行したと

最初に”そこ”は押さえる必要があった…

その上で、訴訟に出ることはせず、落とし前は体で償わせる方針を明確にした

さらに、己が相手に加えたことと同様の行いを己が受けなければ償えないと、本郷に突き付けた

すなわち荒子さんは、今ここで本郷に骨1本を差し出す覚悟の有り無しを迫った訳だ

単純明快だし、理にかなってる

さあ、本郷、どうだ!

ところが…

またもやこのヤロウは、とんでもないことを賜りやがったよ!

...


「お前、南玉を除名された身分なんだぞ。私が”今回”を水に流しても、そこは遡及できない。当然だろうが‼」

「総長…、私が南玉連合を除名処分にされた原因は、重々承知してます。自覚もあります。しかし、それも反省はしてるとの言を口にできません。私は、大きな括りで南玉だけでなく、都県境全体の今の流れに沿った再編は、絶対必要だとの思いで行動したんです。やり過ぎはいっぱいありました。でも今辿り着いたひとつの結果を踏まえて、南玉が新たに生まれ変わる過程へ至ったのであれば、私は一兵卒ででも加わりたいんです」

もう頭が痛くなってきたって!

何と図々しいんだよ、この本郷って女は!

だが、総長は即座に断らないぞ…


...


「よし、私個人としてはそれ、OKしよう。しかし、新しい南玉の意思決定に計って却下されたらそれは、私ではどうにもできない。その時はあきらめろ。それでいいか?」

「はい、それで私はかまいません。ただ、その際、津波祥子とレッド・ドッグスの復帰も計ってください。彼女らの行動は私が引きずったものですので…。無論、組織として却下ならあきらめます」

「本郷…」

私は卒倒しそうだった

コイツの頭の中は一体、どうなってんだって‼

そんな申し出、言語道断だが、私からはそれを言えない

あくまでここは総長の判断だ

で、合田総長は即、本郷の申し出を蹴らなったわ

まあ、総長が”そういう考え”なら、この場はとにかく本郷の”骨”をとるのが先決だわ

それなしじゃ、次に進めないもんな…




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